インカレについて、とりあえずまずは、この話。
取材をするにあたって、あんまり感情移入してしまうと、冷静に見ることができなくなるし、記事も書けなくなる。だから、なるべく一歩外から見るようにしている。テレイン内でカメラ構えているときも、基本的に選手に声を掛けない(応援しない)。選手がこっちを見て声を掛けてくれたり、なにかしらの表情を見せてくれても、僕は声を出せない。表情とカメラで応えるしかない。
だけど、インカレはちょっと違う。
外から見ているだけだと、フツーの大会と変わらない。わかりやすく言えば、大学以降からオリエンテーリングを始めた人が何のかかわりも無いインターハイを見に行くようなもの。しかし、これではつまらないし、現場の学生たちとのテンションのギャップが激しい。というかツライ。だから、インカレ前に選手にインタビューしたり、ランキング作ったりでこちらのテンションを上げる必要あがる。
が、どうやら僕は呪われているのか何なのか、疫病神のようだ。
2年前、T橋の最後のインカレ。僕が心のけっこうな容量を使って応援していたあいつはミドルで予選落ちした。ちなみにまったく気にしていなかったロングは優勝した。ほかに気に掛けていたリレーでの後藤くんは、2位になって涙した。
1年前。リレーの女子は筑波に勝ってほしかった。2位だった。男子は、津國くんなんかと話す機会が多かったせいか、京都を応援していた。2位だった。この年、筑波の千葉さんは、クラブカップ(僕が監督だった)で2位。クラブ対抗リレーで2位。関東リレーでも2位だった。
そのころから、僕は応援してはいけないのではないか?と考えるようになった。
今年のロング、千葉さんはまたもや2位だった。僕は、2004年の5月、彼女に初めて会ったときのことを覚えている。そのときにちょっとビビッとくるものを感じていた。まぁ、彼女は僕に初めて会ったときのことなんて覚えちゃいないだろうけど。
ロングのあと、ある女子選手のコーチをすることになった。とはいっても、遠くに住んでいるので会うことはほとんど無く、メールでのやり取りが主だった。正月明け、彼女は怪我をした。全治6週間。6週間後、少し走り始めると違和感。病院にてまたも故障宣告。
そして今年のインカレミドル。こちらが忙しく、会場入りした時間も遅かったこともあり、予選前に話をすることができなかった。予選は通った。それも、心配していたよりもずっといい成績で。A-Finalの前に少し話ができた。声を掛けたくらいだったけど。A-Finalの成績は散々だった。千葉さんは、ミドルも2位だった。
リレーでは、声を掛けなかった。チームの成績はよくなかった。1走だった彼女をビジュアル地点で見たときも、トップからかなり離れた位置にいた。だけど、あとからラップとかみたら、そんなに悪くないレースだった。怪我のことを考えれば完走できただけでも十分だったが。そして、千葉さんはやっぱり2位だった。
リレーの前日、何の因果か、東北大のミーティングに巻き込まれた。いや、部屋に入ったのは、あくまで自分の意思ではあるのだが、成り行きで。そこで何か言葉をと言われたので「僕が応援すると勝てないので応援はしません…」とも言ったのだが「優勝してください」とも言ってしまった。東北大は優勝できなかった。
ユースキャンプのとき、寺村君に「注目はしている。でも、応援すると負けるから応援しない」と言った。実際、応援はしていなかった。彼らは優勝した。それは不思議ではなかった。
やはり、僕は呪われているのか。それとも僕が呪いを掛けているのか…。