日本のオリエンテーリングが速くなるには?

きつねさんのブログ、ミトコンドリアを鍛えよう!妄想シリーズその2:技術向上ドリル本ができたらな〜。 ( その他スポーツ ) – ミトコンドリアを鍛えよう! – Yahoo!ブログという記事にコメントして、返事をいただいて、また書こうと思ったけど、長くなりそうなのでこっちに書いてトラックバックすることにする。最初に書いたコメントも長いので躊躇したんだけど。

このブログは元々は桐朋の学生向けにいろいろ書かれていたようなんだけど、その内容はもちろん普通のオリエンティアにもためになる内容で、なるほどなるほど…と勉強になる。

概要

記事の本筋はタイトルの通りに技術向上のためのドリルが作れないか、というものなんだけど、僕が反応したのはそこではなく

聞くところによると、
北欧の選手は平日でも森でオリエンテーリングをしているというではありませんか!
そりゃあれだけ速くなれるよな・・・。

というところで、僕のコメントは(長いけど全文)

本題とは外れますが「平日でもオリエンテーリングしているから技術がすごい」というのはちょっと違うと最近思っています。
平日でも、毎日違うテレインならそれもあり得るとは思いますが、実際は家の近くのテレインばかりになるでしょう。「北欧は家のすぐ側にテレインがあるから平日でも…」といっても、結局同じテレインに入りすぎてしまって覚えてしまうので技術的な練習にはならないような話を聞きました。東北大なんかもすぐ近くに山テレインがあるようですが、やっぱり覚えてしまうそうです。
なので、覚えてしまうほど入るまでは技術的な練習にもなりますが、それ以降はフィジカル的に役に立っているんじゃないかと考えています。(まぁ覚えるほど入っても、直進練習なんかでは関係ないのかもしれませんね。)

自分が実際にそういう環境にあったことがないので、本当にそうなるかはわからないけど、聞いた話としては上記の通り。まぁ僕は何回でも楽しめますけど、技術的練習になるかは疑問。

ホームテレインの有効性

そしてさらに返信をいただいて、また返そうと思ったけど長くなりそうだった。(つまりここからが今回のコメント。以降の文章を読む前に、ぜひ今一度元記事を見て欲しい。)

「持ち地図」でOCADを駆使して緑抜きとか黒抜きに地図をアレンジしたとしても結局は覚えてしまっていて練習にはならないですかね?

 これはスゴクいいと思います。これもまた聞いた東北大の話ですが、学内マップでスプリントの練習をする時に、一時的な通行禁止(別に何もないけど、そのレースでは通ってはダメ)を作ってルートチョイスに変化を持たせているようです。これなら何回でも使えるというわけです。ただ、黒抜きとかウインドウOとか、そういう練習は僕はあまり好きではない。だって頭使うの面倒だから。だから早くならないんだけど。
 最初のコメントでも直進練習なら関係ないかも、と書いたように何かしら焦点を絞ったトレーニングなら工夫次第でいろいろできますね。走るだけでも、ロードを走るのとは全然違う(鍛えられる筋肉とか)と思うし。海外の選手は筋トレをあまりしない(だって山を走っていれば、オリエンテーリングしていれば、必要な筋肉は鍛えられるから)というのも聞いたことがあります。

では北欧選手との差は?

で、次の話題

そうしたら北欧選手と日本人選手の技術(ナビゲーション)の差は何によるものなのか????
僕が思っている程の大差はないのだろうか??

大差があるとしたら、単純に始める時期の差なのか??
時期の違いとは具体的に何なのか??
「量」の違いなのか?
それとも「臨界期」が関係してくるのか??

 始める時期が早いから、というのは大学生から始める人がほとんどだった時代の言い訳だったと思っています。今の日本では中学生から始めて大学まで続けている人も複数います。ただ実際彼らはとても速いし、そして更に速くなっているから、もちろん要因の1つではあるだろうけど、今後北欧の選手との差は無くなってくる訳で、もう言い訳には使えなくなってくる。(同時に実力差も縮まってくると思うし、そうなって欲しい。)
いや、北欧の選手はもっち小さな時からやっている、と思う人もいるかもしれないけど、中高年代から始めてかなり速くなった北欧選手なんかもそれなりにいます。また、地図をちゃんと理解して読むことができるのは小学校高学年以降とも言われているので、だったら中学から始めるのと大差はないはず。

 (ちなみに、「臨界期」というのがなんなのかがいまいちわからなかったので、それについては省略。競技人生・競技力のピークのこと?それとも競技者としての終点の話でしょうか?)

 では、まだ違う部分というのは何なのでしょう?まぁまだたくさんありますよね。周囲の環境がまず違う。周りに競技者がたくさんいて、それが速い人たちなら、その周りの人達と同じくらいレベルまでは(そういう人がいない環境に比べて)わりと簡単に行ける。これは日本でもインカレ強豪校なんかとエリートがまったくいない学校とでは強い選手が育つ可能性がだいぶ違うということがある。これは、周りにそういう指導が出来る人がいるとかもあるし、オリエンテーリングの速さの当たり前、常識がだいぶ違うんだと思う。周りの人が100mを15秒で走る人達のなかにいるのと10秒で走る人達の中にいるのでは、頭の中の常識が変わってしまう。15秒の人たちのなかにいれば100mを10秒で走るのは夢と思って目指すけど、10秒の人たちのなかで育てば、100m10秒は当たり前の通過地点となる。この意識の差は大きいと思う。

 トレーニングの量については、日本人はそれほど劣っているわけではない、と見る人もいます。というかフルタイムワーカーとしてはよくそれだけできるな、というくらいだとか。まぁそのトレーニングの質は違うのかもしれません。フルタイムワーカーが練習できる夜なんかに山に走りにいくのはやっぱり危険ですし。

 あと最近思っているのは普段のテレインでの練習の場所の違いはあると思っています。微地形だとかの技術的なものではなく(いやそれもあるとは思いますけど、だったら日本のテレインなら互角に戦えないと納得いかない)平らでスピードが出るテレインでのオリエンテーリング機会が多いということ。日本だと斜面が急なテレインが多くて、度々止まるオリエンテーリング、スピードの乗り切らないオリエンテーリングが多い。でも平らなところで普段やっていれば、高速レースが普通の感覚になり、それで使えるナビゲーションテクニックが身につく。10min/kmのオリエンテーリングを普段やっている人と6min/kmのオリエンテーリングを普段やっている人では感覚が違うんではないか、と。10min/kmの人が6min/kmのオリエンテーリングを行うのは難しいけど、6min/kmの人が10min/kmのオリエンテーリングをやるのはさして難しくないと思う。

 だから、日本でもダウンヒルとかうまく使って、速いスピードでのオリエンテーリングをなるべく多く取り入れることが重要なんじゃないかと思う。そしてそれをやっていたのが坂本くんだったんじゃないかと思うんだけど。僕のようなトップレベルに全然いないような人間にとっては、月に1,2度でいいから速い人のオリエンテーリングにひたすらついて行って(地図は読めればいいけど読めなくてもいい)速いオリエンテーリングを体験する、身体に覚えさせることがいい練習になるんじゃないかと思っています。陸上なんかでも、バイクとかに引っ張ってもらって、普段の自分の速さ以上のスピードで走る練習なんかがあると聞きます。(引っ張ってもらってでも、自分の足で体験したスピードならイメージしやすい。)実際に見たことはないので本当にあるのかは確信ないけど。

というわけで、日本のオリエンテーリングが速くなるには

  • 競技人口が増えて(母数が増えれば競い合いもあるし、才能ある人のいる可能性も上がる)
  • しかも中高生が増えて(やっぱり早く始めることは重要なことに間違いはないと思うし、日本ではどのスポーツでも中高生がたくさんいて目立っていると活気がある。)
  • その人達が速いオリエンテーリングを身につけて、当たり前のレベルを上げていく

というのが必要なんじゃないかと。周りの(テレイン・練習)環境とか社会の構造だとかは、はっきりいって手を出せないものなので、どうこう言ってもしかたないし。できるものは何なのか、を探さないと。

結局、強化のためにもやっぱり普及は大事だし、強化ができれば(結果が出てくれば)それは普及にも大いに役立つのだから、やっぱり強化と普及は両輪なんでしょう。ただ、だからどっちもやれ、ではなく、その人その人が興味のある方をやればいいと思っています。片方を頑張れば、それはもう片方にもいい影響を与えるはずなんだし。興味ないことを無理やりやらせてもそれはマイナスになってしまうこともあるだろうし。

そんなわけで

 こっちに書いてトラックバックすることにしたので、最初考えていたよりも更にとんでもなく長くなってしまった。こういうふうにして良かったと思う。もちろん、ここまで書いたのは単に僕の意見・感じたことなので、それが正解だ、なんてことは無い。いろんな意見があって当然で、試行錯誤していくしかない話題なんだと思います。どれが正しいとか議論するのではなく、自分が正しいと思った方法・道を実践していくことが大切だし、それでしか進めないと思います。

 ところで、件のブログのきつねさん、インターハイのときに僕のO-News Shopにも来て頂いて、ちゃんと顔も見ているんだけど、僕の記憶には無い顔。しかし、多分、書かれている文章とこの名前から推測するに、大学生当時、僕は彼のことを知っていたはず。まぁ僕の同期が一緒にJWOCに行っているようだし、それで。
そしてその同期の繋がりで(?)1度だけ大会の帰りか何かに一緒の車に乗ったことがあるはず。(その時自分が運転していたかと思ったけど、よくよく考えれば多分その同期が運転していた気がしてきた)もう1人乗せていたと思うけど「やっぱり東京の大学だと、合コンとかあったりするの?」みたいなことを聞いた気がする。
ただ、お互いの人生が接触したのはその1度きりで、それが今になってまたこうした形で触れることができたというのがまた面白い。そのときの彼がきつねさんと本当に同一人物だったら、だけど。
そしてその間にいた僕の同期は、今はもうオリエンテーリングからは離れているけど、いつか彼女がふらりとオリエンテーリングの世界に顔を覗かせたときに、そこに僕がいて、「えー、ちゅんたすごーい」と言ってもらえるような、そんな人になっていたいというのも今の自分のモチベーションの1つだった。今回のJWOC合宿で紺野が持ってきてくれたJWOC’98の報告書に彼女の姿と文章を見て、そんなことも思い出した。

ABOUT ME
著者近影
宮城島 俊太 (Shunta MIYAGISHIMA)

茨城県つくば市在住のウェブサイト運営者。ネット上ではc-miya、orefolderなどの名前で活動しています。

ストレスに弱いので、できるだけ好きなことだけをして生きたいと思いながら生活しています。「楽しい」が優先順位の一番上に来るようにしたいですね。

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